小児矯正(子どもの歯列矯正)

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「歯列矯正は大人になってからおこなうもの」と思っているお父さん、お母さんも多いかもしれません。
確かに一昔前まで、矯正治療は永久歯が生えそろってから始めることがほとんどでした。
しかし、現在では、乳歯の頃や永久歯と乳歯が混合している頃からおこなうのが望ましいという考え方もあります。
早い時期から矯正治療を始めることで、永久歯に生え変わったときに、抜歯や外科手術など大きな処置をすることなく、きれいな歯並びを形成できるからです。

本記事では、小児矯正治療とはどんなことをするのか紹介する他、治療を始めたいタイミング、治療の種類などについて解説します。

小児矯正(子どもの歯列矯正)とは

施術の様子

小児矯正とは、子どもが幼児期や成長期にあるうちにおこなう歯列矯正治療のことです。発育途中に治療を開始することで、骨格を改善しやすく、きれいな歯並びやかみあわせを得やすいというメリットがあります。
小児治療は、開始する時期と目的によって1期治療と2期治療に分類されます。ここではそれぞれについて解説します。

1期治療

4歳から8歳頃のまだ乳歯のうちに開始する治療です。あごの骨がまだやわらかい時期に治療を始めることで、骨格の健全な成長を促しやすく、永久歯が正常に生えそろい、正しいかみ合わせとなるための土台を無理なく作れます。永久歯の抜歯や外科手術の可能性を下げて、2期矯正を行える他、2期矯正治療自体をせずに矯正を終える可能性もあるでしょう。
ただし、1期治療は全てのお子さんに必要なわけではありません。症例や希望する状態により、2期治療から始めても十分な場合もあります。必要かどうかは専門医に相談のうえ、判断することになるでしょう。

1期治療のメリット

✔︎あごの成長を利用して、永久歯が生える土台を作れる
✔︎将来的に抜歯や外科手術による治療を避けられる可能性が高まる
✔︎根本的な解決につながる可能性がある
✔︎永久歯になってからの矯正治療が短期間で終わる可能性がある


1期治療のデメリット

✔︎子どもが治療を嫌がる可能性がある
✔︎親御さんの協力が必要

2期治療

永久歯に生え変わって以降(通常12歳くらい)におこなう矯正治療です。成人矯正と同じく、ワイヤー矯正やマウスピース矯正によって永久歯の歯並びを整え、正しいかみ合わせにすることを目的とします。メリット、デメリットも成人の歯列矯正と同様です。

2期治療のメリット
✔︎細かい力をかけられ精密な矯正治療が可能になるため歯並びを手に入れられる
✔︎虫歯や歯周病になるリスクが下がる
✔︎健全なかみ合わせにより、奥歯の負担をさけれる
✔︎口を閉じやすくなると、呼吸しやすくなったり、口の乾燥が少なくなる


2期治療のデメリット
✔︎治療中は虫歯と歯周病になるリスクが高まることがある(特にワイヤー矯正)
✔︎装置によっては、治療中に発音しにくい、食べにくい、管理が大変などの不便がある
✔︎抜歯や外科手術が必要な場合もある
✔︎治療後も保定装置をつける必要がある

小児矯正(子どもの歯列矯正)と成人矯正の違いについて

  小児矯正(1期治療) 成人矯正(2期治療)
目的 永久歯が正しい位置に生えてくるための土台を作る 歯並びやかみ合わせの改善
動的治療期間 1年〜2年程度 1年〜3年程度
使用する装置

・可撤式矯正装置(自分で取り外しができる装置)
・固定式矯正装置(口の中で固定され、自分で取り外しができない装置)
・顎外矯正装置(口の外につける装置)

・ワイヤー(マルチブラケット)
・マウスピース矯正
など

治療で期待できること 成長期の柔軟性を利用でき、あごなど骨格など根本的な原因に対応できることもある 精密な治療で歯並びやかみ合わせを改善できるが、症例によっては歯の移動に限界がある

小児矯正と成人矯正では、まず、その目的が異なります。成人矯正が歯並びやかみ合わせを整えるのに対し、小児矯正では、これから永久歯が正しい場所に生え、健全なかみ合わせを得られるよう、口の中やあごを整えておくことを目的とします。

そのため、使用する装置も小児矯正と成人矯正では異なる場合がほとんどです。成人矯正では、主に歯の移動がメインとなる装置を使用します。一方、小児矯正では歯の移動だけでなく、あごの骨同士の幅を広げたり移動させたりする装置の他、舌の癖を改善したり、お口の周りの筋肉のバランスを整えたりするものもあります。成長期ゆえの柔軟性を生かし、骨格の問題にも対応できうるのです。

治療を始めるタイミングについて

小児矯正を開始するのにベストなタイミングは、症例によって異なります。受け口の場合は、できる限り早い時期が望ましいと考えています。 他にも、お子さんに次のような様子が見られ、気になる場合は一度矯正専門医に相談することをおすすめします。


乳歯だけの状態で既に歯ががたがたしている

  1. 永久歯が生えてきたが、重なり合っていたり、スペースが不足したりする
  2. 受け口や出っ歯で、上下のあごのバランスが悪い
  3. 口をポカンと開けていることが多い
  4. 指しゃぶりがやめられない
  5. 舌を前に出す癖がある
治療を始めるタイミングについて

小児矯正(子どもの歯列矯正)の種類

小児矯正に用いられる装置には、いくつかの種類があります。ここでは、それぞれの装置を使用した治療の概要と、メリット、デメリットについて紹介します。

ムーシールド

受け口(反対咬合)の治療を目的に用いられる、マウスピースタイプの矯正器具です。舌や口周りの筋肉を整え、受け口の原因である舌圧と口唇圧のバランスを改善し、正しい噛み合わせに導きます。装着は就寝時がメインで使用します。乳歯が生えそろう4歳頃から治療できます。

メリット

ムーシールドで治療するメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

  1. 取り外しができる
  2. 装着は就寝時だけでもよい
  3. 将来の2期矯正の際、抜歯や外科手術の可能性を下げれる可能性がある
  4. 痛みがほとんどない


ムーシールドは、マウスピース型で、自分で取り外しができるため、食事や歯磨きもいつも通りにおこなえます。就寝時だけ装着すればよく、お子さんの感じるストレスを低減できるでしょう。また装着しても痛みが少ないため、お子さんが抵抗を示すことも少ないでしょう。

デメリット

ムーシールドには、以下のようなデメリットもあります。

  1. 効果の得られる症例が限られる
  2. 永久歯に生え変わってからは効果が少ない

 

ムーシールドは、受け口の治療に使用されるため、適用できる症例が限られます。また、受け口であれば全ての場合に効果があるわけではなく、お子さんのあごの状態によっては、他の治療法の併用も考えなければならないこともあるでしょう。
また、治療できる時期が限られ、早い時期に始めるのが望ましいでしょう。
また治療をしても成長期に下顎が前にでてくることにより、再度反対咬合の矯正治療が必要になる可能性もあります。


拡大床

顎を拡大するために用いられる装置です。叢生(乱ぐい歯)や八重歯など歯が生えるスペースが十分にない場合に使用します。ワイヤーとプレート、拡大ネジでできており、少しずつネジを回して、外側へ力を加えることであごを広げていきます。
装着は基本的に就寝時のみです。完全に永久歯へ生え変わる前に治療するのが効果的で、5歳くらいから始められます。また装置に応用性があり、顎を拡大する以外に様々な機能を加えれることができます。ただし下顎は通常の拡大方法では広がりにくいため、当院では広がりやすいような工夫を行っています。

メリット

拡大床による治療には次のようなメリットがあります。

  1. 取り外しができる
  2. 2期矯正時に抜歯や外科矯正を行う可能性を低くすることができる
  3. 装着時間が短くても効果がでやすい
  4. 外出中は外すため矯正していることを気づかれにくい
  5. 装置の応用性が高く、1本だけ前にだしたり、前にですぎないようにする機能を追加できる

 

拡大床も自分で取り外しができる装置です。そのため、食事や歯磨きもいつも通りにおこなえます。お子さんも抵抗感を覚えにくいでしょう。
また、24時間装着する必要はありません。

デメリット

拡大床のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。

  1. 適用できない場合もある
  2. 1日8時間以上の装着時間を守らねばならない

 

拡大床による治療で効果があるのは、歯列の幅のせまさが原因で、歯並びに問題がある場合のみです。全ての症例に対応できるわけではなく、歯のスペースの問題だけではない場合は他の治療法を用いる必要があります。
また1日8時間以上の装着を推奨しており、装着時間が短ければ十分な効果は得られません。


T4K、プレオルソ

T4Kはマウスピース型の矯正装置です。舌の位置や機能を正しくすることで、筋肉の働きをよくし、歯並びやあごの発達を正しく導きます。完璧な歯並びにするというよりは、ある程度正しい、60点程度の歯並びを目指すものです。
特に口呼吸や指しゃぶり、舌癖のあるお子さんに向くでしょう。また1期矯正後の後戻り防止用の装置としても使用することがあります。

メリット

T4Kによる治療のメリットには以下のようなことがあります。

  1. 取り外しができる
  2. 痛みが少ない
  3. 装着時間が短くても良い
  4. 調整の必要性がほとんどない

 

T4Kは柔らかい素材でできた上下一体型のマウスピースです。装着してもあまり痛みを感じずにすむうえ、取り外しもできます。
起きている時間に1〜2時間程度、後は就寝中のみ装着すればよいので、お子さんもストレスをあまり感じずに済むでしょう。
また、装置を調整する必要がないため、あまり通院しなくてすむのも便利です。

デメリット

T4Kには以下のようなデメリットもあります。

  1. 装置以外にもMFT(筋肉のトレーニング)も併用することがある
  2. 成長によって再度矯正が必要になるケースもある

 

T4Kは上下一体型のマウスピースであるため、お子さんが不快に感じて装着を嫌がる場合もあります。そのため子ども本人にやる気があることが重要です。

スケルトン(急速拡大装置)

拡大床の一種で、あごを拡大する装置です。乱ぐい歯(叢生)や出っ歯など、歯列に十分なスペースがないために歯並びが乱れている場合に用いられます。
先に紹介した拡大床との違いは固定式であることと、特に上顎の高口蓋に対して効果を発揮できるところです。

メリット

スケルトンを用いた矯正のメリットはとして、以下のようなことが挙げられます。

  1. 高口蓋(上顎の横幅が狭い)を根本的に治療できる可能性がある
    ※高口蓋による副作用は多様で、鼻の通りが悪いことによる呼吸の問題などがあげられます。
  2. 顎が狭いという根本的な問題を解決できれば抜歯や外科手術の可能性を下げれる可能性がある
  3. 装着時間が短くても良い
  4. 調整の必要性がほとんどない

デメリット

デメリットも拡大床と同様です。

  1. 適用できない場合もある(下顎に対しては効果は限定的)
  2. 装置は固定式のため、自分では外せない
  3. 親御さんの協力が必要(ネジを回す必要がある)

費用

費用

当院で小児矯正にかかる費用の目安は「料金一覧」ページで紹介しています。症例によって異なる場合もあるため、具体的な費用が知りたい場合は、ご相談の際に医師にご確認ください。


まとめ

子どものうちに歯列矯正を始めれば、大きな負担なくきれいな歯並びや整ったフェイスラインを手に入れられる可能性が高まります。発育途中にある子どもの骨は、まだ柔らかく、動かしやすいためです。
特に受け口など、歯並びやかみ合わせに何らかの問題が見られるなら、早めに専門医に相談しましょう。

おひさま歯科・小児歯科
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